998円はお得に感じるの嘘。4,788回の購買実験でわかったこと

ころんぶん編集部・読了目安:3分・出典: Fenneman et al. (2022), PLOS ONE, CC BY 4.0

出典: Fenneman et al. (2022), PLOS ONE, CC BY 4.0(実験で実際に使われたロト券の画面)

3行でわかる要約

  • 「998円」のような端数価格(1円引き)は、消費者の購買意欲を高めると広く信じられている。
  • 研究チームが266人・4,788回の購買実験を行い、端数価格の効果("左桁効果")とキリのいい価格を好む効果("処理流暢性効果")の両方を検証した。
  • 結果、どちらの効果も統計的に確認できず、「端数価格が本当に効くかどうかは、実はまだよくわかっていない」ことが示された。

ころんの解説

コンビニやネットショップで「998円」「1,980円」みたいな価格、よく見ますよね。これは「端数価格」と呼ばれる価格のつけ方で、ドイツの小売価格の62.9%が9で終わる価格だったという調査もあるくらい、世界中で当たり前に使われているんです。

端数価格が効くとされる理由には、実は2つの説があります。1つは「左桁効果」――価格は左から読むので、998円は「900円台」として脳に刻まれて1000円より安く感じるという説。もう1つは真逆で「処理流暢性効果」――キリのいい数字の方が頭の中でスッと処理できて、かえって好印象を持たれるという説です。方向性が真逆なのに、どちらも過去の研究で支持されてきたんですよ。

そこで研究チームが266人に、宝くじ(ロト券)の購入実験を4,788回もやってもらって、どちらの効果が本当にあるのか確かめたんです。結果は…まさかの「どちらの効果も確認できず」!長年「常識」とされてきた価格戦略が、実はちゃんとした証拠に乏しいかもしれない、という意外な結末でした。値段のつけ方ひとつとっても、まだ解明されていないことがあるんですね。

「一緒に読んでみましょう♪」

原文(アブストラクト)の日本語訳

※このセクションは論文のアブストラクト(要旨)を翻訳したものです。論文本文の全訳ではありません。

小売店の価格は、ある水準からわずかに低い値(例:1.99ドル)か、キリのいい整数値(例:2.00ドル)に設定されることが多くあります。先行研究では、こうした心理的価格設定の背景にある2つの価格知覚効果が提案されてきました。1つ目は「左桁効果(LDE)」で、消費者が価格を左から右に読むと仮定するものです。認知的な制約により、消費者は価格の左側の桁の影響を過大評価し、右側の桁を過小評価するとされています。

この効果は、キリのいい価格の方が知覚的に処理しやすく、その結果魅力的に感じられるとする「処理流暢性効果(PFE)」と、一見矛盾しているように見えます。これらの相反する効果を検証するため、本研究では266人の参加者による4,788回の購買実験を実施し、内容が同一のロト券の価格を2つの価格水準で体系的に変化させました。予想に反して、いずれの価格知覚効果も支持する結果は得られませんでした。本研究では、この結果に関する3つの可能な説明を提示しています。

原論文(PLOS ONE, CC BY 4.0)を見る

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