半年間、宇宙にいると頭は鈍る?ISS飛行士25人の認知機能追跡調査

ころんぶん編集部・読了目安:3分・出典: Dev et al. (2024), Frontiers in Physiology, CC BY 4.0

出典: Dev et al. (2024), Frontiers in Physiology, CC BY(研究デザイン: ミッションの5つの時期区分)

3行でわかる要約

  • ISS(国際宇宙ステーション)に半年間滞在した宇宙飛行士25人を対象に、出発前から帰還後まで10領域の認知機能を追跡調査した。
  • 飛行序盤は処理速度・視空間ワーキングメモリ・持続的な注意力がやや低下したが、ミッション全体を通じて系統的な認知機能の低下は確認されなかった。
  • 一方でミッション後半から帰還後にかけて、リスクを取る判断が減っていく傾向が見られた。

ころんの解説

「宇宙に何ヶ月もいたら頭がボーっとしちゃうんじゃない?」って、ちょっと気になりませんか?無重力・閉鎖環境・強い放射線など、宇宙飛行士の脳にはいろんなストレスがかかると言われています。でも実は、ISSに実際に長期滞在した飛行士を対象にした認知機能のデータは、これまで意外と少なかったんです。

そこでこの研究では、NASAの本物のプロ宇宙飛行士25人に協力してもらい、「Cognition」というテストバッテリーで処理速度・記憶・注意力・リスク判断など10種類の認知機能を測定しました。タイミングは打ち上げ前・飛行序盤・飛行後半・帰還直後・帰還してしばらく経ってからの、合計5つの時期です。

結果は「宇宙に長くいるとどんどん頭が鈍っていく」という単純な話ではありませんでした。飛行序盤に処理速度や注意力が一時的に落ちる場面はあったものの、ミッション全体を通した系統的な低下は見られなかったんです。ただし、リスクを取る判断は後半になるほど慎重になっていく傾向があったそうで、これは環境に体が慣れていく過程なのかもしれませんね。

原文(アブストラクト)の日本語訳

※このセクションは論文のアブストラクト(要旨)を翻訳したものです。論文本文の全訳ではありません。

現在および将来の宇宙飛行士は、宇宙飛行に伴う危険要因や環境ストレスに長期間さらされ、認知機能に影響が及ぶ可能性があるが、国際宇宙ステーション(ISS)への現行ミッションにおける認知機能はこれまで十分に特徴づけられてこなかった。本研究では、ISSへの6ヶ月間のミッションに参加した宇宙飛行士を対象に、10の認知領域にわたる認知機能を体系的に評価した。

NASAのプロの宇宙飛行士25人に、打ち上げ前・飛行序盤・飛行後半・帰還直後・帰還後しばらく経過した時点の計5つのミッション時期に「Cognitionテストバッテリー」を実施した。速度・正確性のスコアを練習効果で補正し、各時期の成績が打ち上げ前の平均からどれだけ変化したかを分析した結果、認知機能はおおむね安定していたが、飛行序盤には処理速度・視空間ワーキングメモリ・持続的注意力のタスクで成績の低下が見られた。また、飛行後半から帰還後にかけてリスクを取る判断が減少する傾向も確認された。全体として、6ヶ月間のISSミッションにおいて系統的な認知機能の低下を示す証拠は見られなかった。

原論文(Frontiers in Physiology, CC BY 4.0)を見る

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