満月の夜、狼男になる?12カ国5,812人で検証した都市伝説

ころんぶん編集部・読了目安:3分・出典: Chaput et al. (2016), Frontiers in Pediatrics, CC BY 4.0

出典: Chaput et al. (2016), Frontiers in Pediatrics, CC BY(満月・半月・新月での睡眠・活動量の比較)

3行でわかる要約

  • 「満月の夜は人や動物の様子がおかしくなる」という都市伝説を検証するため、12カ国5,812人の子ども(9〜11歳)の活動量計データ(24時間×7日間、計3万3,710件)を分析した。
  • 満月の夜は新月の夜と比べて、睡眠時間が平均5分ほど短いという、統計的に有意だが極めてわずかな差のみが見つかった。
  • 運動量や座っている時間には満月・新月による違いはほとんど見られず、著者ら自身「臨床的に意味があるか疑わしい」水準の差にとどまった。

ころんの解説

「満月の夜は犯罪が増える」「満月の夜は救急搬送が増える」「満月の夜は子どもが興奮しやすい」――こういう話、聞いたことありませんか?狼男伝説をはじめ、満月と人間の行動を結びつける都市伝説は世界中に昔からあります。この論文のタイトルも、そのものずばり「Are Children Like Werewolves?(子どもは狼男のようになるのか?)」なんです。

この研究がすごいのは、オーストラリア・ブラジル・カナダ・中国・フィンランド・インド・ケニア・ポルトガル・南アフリカ・イギリス・アメリカなど12カ国、5,812人もの9〜11歳の子どもを対象に、腰につけた活動量計で24時間×7日間、合計3万3,710件ものデータを集めたところです。これを満月・半月・新月の3つのタイミングで比較しました。

結果は、満月の夜は新月の夜と比べて睡眠時間が平均5分ほど短い、という統計的には有意だけれどごくわずかな差だけでした。運動量や座っている時間には、ほとんど違いがなかったそうです。著者たち自身も「1%程度の差が、実際に意味のある差なのかは疑わしい」とコメントしています。都市伝説を大規模データで真正面から検証したら、"ほぼ何も起きなかった"というオチでした。

原文(アブストラクト)の日本語訳

※このセクションは論文のアブストラクト(要旨)を翻訳したものです。論文本文の全訳ではありません。

満月が睡眠や活動行動と関連しているかどうかを検証するため、本研究では12カ国での調査から得られた3万3,710件の24時間加速度計記録(睡眠・活動データ)を用いた。本観察横断研究には、あらゆる有人大陸と幅広い人間開発の水準を代表する調査地(オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、コロンビア、フィンランド、インド、ケニア、ポルトガル、南アフリカ、イギリス、アメリカ)から集められた9〜11歳の子ども5,812人が含まれた。分析には3つの月相(満月[±4日、基準]、半月[±5〜9日]、新月[±10〜14日、最も近い満月から起算])を用いた。

夜間睡眠時間、中強度〜高強度の身体活動(MVPA)、軽強度の身体活動(LPA)、総座位時間(SED)を、腰に装着した加速度計を用いて24時間×連続7日間にわたりモニタリングした。月相間で有意な差が見られたのは睡眠時間のみで、満月の夜は新月の夜と比べて約5分/晩短かった。MVPA・LPA・SEDの月相間の差はごくわずかで統計的に有意ではなかった(1日あたり2分未満の差)。調査地間で関連性に差は見られなかった。結論として、この世界規模の子どものサンプルにおいて、睡眠時間は満月時に新月時と比べて1%短かった一方、活動行動は月周期と有意には関連していなかった。このごくわずかな差が臨床的に意味を持つかどうかは疑わしい。

原論文(Frontiers in Pediatrics, CC BY 4.0)を見る

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